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2026年7月24日

BONDを続ける理由 4

BONDを続ける理由 4
2026年7月24日

グリ下支援との出会い

BONDは2022年の発足当初、ホームレス支援と自殺防止支援の2団体を支援する活動として始まりました。

発足から約1年が経った頃、「タムケン先生」という弁護士の方からSNSでメッセージをいただきました。

実際にお会いし、グリ下で行っている支援活動について話を聞きました。

それまで私が持っていたグリ下のイメージは、

・ドラッグ

・売春

・不良少年のたまり場

といった、世間で報道されているようなものでした。

しかし、実際は違いました。

本当に心が苦しくなり、家庭や学校に居場所を失った子供たちが、行き場を求めて集まっている場所でした。

その現状を知り、

「ぜひBONDで支援したい」

と思い、3つ目の支援団体として加わっていただくことになりました。

人生をかけて子供たちに寄り添う人

タムケン先生は、弁護士として成功し、十分な収入もあり、恵まれた暮らしをしていました。

しかし、グリ下の子供たちと出会ってからは、弁護士業務の多くをほかの弁護士へ任せ、全国の居場所のない子供たちに寄り添う活動を始めました。

収入のほとんどを活動につぎ込み、全国を飛び回っていました。

その熱い気持ちに引き込まれ、BONDでも活動を支援するようになりました。

グリ下に集まる女性をクロスグループのお店で雇ったり、寮へ住んでもらったりしたこともあります。

ある女性を寮へ案内し、鍵を渡した時に、

「もうこれで援助交際をしなくて済む」

と、あどけない笑顔で言われたことが、今でも忘れられません。

グリ下へ集まる女性の中には、生きていくために援助交際をしている子も少なくありません。

少し道を踏み外しただけで、好きでもない人と身体の関係を持たなければ生きていけない。

そんな社会にしてしまった大人の責任を、強く感じました。

トー横から大阪へ来た少年

翌年の正月、タムケン先生から突然電話がありました。

「今、トー横ですばらしい少年と出会ったので大阪へ連れて行きます。少しの間だけ寮へ住ませてあげてください」

そう言われました。

過去にグリ下の子を寮へ入れ、部屋を荒らされた経験もあったため、正直なところ気は進みませんでした。

ほかのスタッフへ迷惑がかかる不安もありました。

それでも急いで大阪へ戻り、寮の鍵を渡しました。

それから、その少年から毎日のように、

「会いたい」

と電話がかかってくるようになりました。

寮へ行ってみると、

「タムケン先生は北海道へ行ってしまって、僕たちはもう2日間ご飯を食べていない」

と言われました。

事情をよく知らないまま食費を渡したため、その時は正直、利用されているような嫌な気持ちもありました。

「中村社長は命の恩人です」

それから約3カ月後。

グリ下の子供たちを集めたカラオケ大会へ顔を出すと、あの時の少年がいました。

少年は私を見るなり、突然抱きついてきて、

「中村社長は命の恩人です」

と、涙を流しながら言いました。

詳しく話を聞くと、その少年は大晦日に自ら命を絶つため、トー横へ行っていたそうです。

そこでタムケン先生と出会いました。

話をする中で、

「どうせ死ぬなら、一度大阪の街を見てからにしよう」

と言われ、大阪へ来たそうです。

その後、タムケン先生と一緒に過ごし、居場所のない子供を引き取って暮らしている町田社長のもとで働き始めました。

少しずつ元気を取り戻し、新しい夢を見つけ、立ち直ることができたと話してくれました。

タムケン先生は、こうした背景を私に詳しく説明することはほとんどありませんでした。

それでも常に、居場所のない子供たちを助けるため全国を飛び回っていました。

改めて、

「この人がしている活動は、本当にすごいことなんだ」

と感じました。

心まで注ぐ支援

ある日、自宅でホームパーティーを開いた時のことです。

13人ほどで座っていると、タムケン先生が突然、

「実は僕、この3年間でこれだけの人を失っているんです」

と話し始めました。

タムケン先生は、グリ下の子供たちに深く寄り添い、毎日のように一緒にご飯を食べ、さまざまな場所へ連れて行っていました。

時間やお金だけでなく、心まで注いで活動していました。

それでも、寄り添っていた子供が、ある日突然自ら命を絶ってしまうことがあります。

その精神的な負担は、簡単に想像できるものではありません。

それでも、

「何とか救いたい」

という思いで、活動を続けていました。

一般的なボランティア活動では、時間やお金を提供し、感謝されることもあります。

しかし、タムケン先生の活動には、見返りがほとんどありません。

それどころか、

・深く寄り添うことで、自分自身の心も傷つく

・子供を利用する薬の売人や援助交際業者と対立する

・未成年者を連れ回していると誤解され、犯罪者扱いされる可能性がある

といった、大きなリスクがありました。

本当にリスクしかなく、普通の人には簡単にできない活動を、全力で続けていました。

タムケン先生としゅん君

その活動の中で、「しゅん君」という24歳の若者をよく連れていました。

しゅん君自身も、かつてトー横でオーバードーズを繰り返し、命を落としかけた経験があります。

しかし、タムケン先生と出会ってからは、今度は自分がグリ下の子供たちを救う側へ回っていました。

タムケン先生と一緒に活動するようになって、2年目の夏。

タムケン先生と突然、連絡が取れなくなりました。

さまざまな噂が流れる中、ある日、

「タムケン先生が自ら命を絶った」

という報告が入りました。

普段はとても明るく話していたため、その苦しみに気づいてあげることができませんでした。

今振り返ると、居場所のない子供たちの辛さを自分のことのように受け止め、焦りや苦しみを抱えていたのだと思います。

行方不明になる直前のSNSにも、少し思い詰めたような内容が残っていました。

一緒に叶えようと約束した夢

タムケン先生と出会った頃、私自身もBONDを続けることに疲れていました。

信頼していた後輩たちが次々と離れ、集客から当日の準備、進行まで、ほとんど一人で行っていました。

空回りすることも多く、

「これなら毎月、自分のポケットマネーから30万円を寄付する方が楽なのではないか」

と思ったこともあります。

そんな時、タムケン先生を和歌山のリゾートへ招待し、夜通し語り合いました。

その時、タムケン先生は、

「全国にいる居場所のない子供たちへ、地元の企業が寮と仕事を提供し、一緒にワクワクできることを探しながら立ち直れる仕組みを作りたい」

と話してくれました。

確かに、自分一人が寄付をするだけでは、自分がいなくなれば終わってしまいます。

自分がいなくなった後も、

・ホームレスの人

・自殺を考えている人

・居場所のない子供たち

を、各地の企業や地域の人が支えられる仕組みを作る。

チャリティー交流会BONDを全国へ広げていく。

その夢を、一緒に実現しようと約束しました。

さらに、和歌山で運営しているレンタルコテージ事業が順調だったため、

「会員制コテージの事業が成功したら、生駒山にもコテージを作り、その隣にホームレス、自殺を考えている人、グリ下の子供たちが立ち直れる居場所を作ろう」

という話もしました。

それは、私自身がずっと抱いていた生涯の夢でもありました。

だからこそ、タムケン先生がいなくなった時、心に大きな穴が開きました。

思いを引き継いだしゅん君

その後、しゅん君と話し合いました。

しゅん君も、

「タムケン先生に助けてもらった恩を返したい」

「タムケン先生の思いを引き継ぎたい」

という気持ちを持っていました。

そして、新たに「ひとりぼっちにさせへんプロジェクト」の理事長として、グリ下の子供たちを救う活動を始めました。

それまでは、タムケン先生の後ろについて歩く、おとなしい若者という印象でした。

しかし、タムケン先生がいなくなった後、しゅん君は大きく変わりました。

BONDでも、参加者の前に立ち、自分たちの活動についてしっかり報告するようになりました。

行政のトップが集まるグリ下会議にも参加するようになりました。

経済力や人脈の面では、すぐにタムケン先生と同じようにはできません。

それでも、今できることを続けています。

現在では約10名の夜回りチームができ、グリ下へ集まる子供たちへ、

・お菓子を配る

・一緒にご飯を食べる

・悩みや相談を聞く

といった活動を続けています。

町田社長との別れ

さらに今年、タムケン先生と一緒に活動していた町田社長も、がんで亡くなりました。

町田社長は、自身がステージ4のがんという厳しい状況にありながら、グリ下の子供を引き取り、生活を共にしていました。

親の愛情を知らずに育った子供たちへ、家族のように愛情を注いでいました。

訃報が届いた日、偶然しゅん君と電話で打ち合わせをする予定がありました。

私が、

「町田社長、残念だったな」

と話すと、しゅん君はまだ訃報を知らなかったようでした。

「えっ?どういうことですか?町田社長、どうしたんですか?」

と取り乱し、状況を説明すると泣き崩れてしまいました。

しゅん君にとって、町田社長は親代わりのような存在でした。

しばらくして、しゅん君から、

「5分だけ泣かせてください」

と言われました。

私は、

「いっぱい泣いていい。泣くことも大切な供養だから」

と伝えました。

すると、しゅん君は、

「僕はグリ下の子たちを守らないといけないので、5分で気持ちを切り替えます」

と言いました。

その言葉を聞き、私も思わず涙が出ました。

自分の命をかけて守ろうとしている

しゅん君は、肝硬変という大きな持病を抱えています。

毎年、定期的に手術を受けており、あと10年ほどの命だと伝えられているそうです。

まだ24歳です。

本来であれば、自分自身のことで精一杯でもおかしくない年齢です。

それでも、自分の人生をかけて、グリ下の子供たちを救おうとしています。

しゅん君は、タムケン先生に助けてもらった恩を返すため、グリ下の子供たちを救うことを自分の使命にしているように感じます。

電話を切る前に、しゅん君から、

「これで中村社長までいなくなったら、僕は本当にひとりぼっちになるので、中村社長だけは絶対に死なないでくださいね」

と言われました。

その時、

「ひとりぼっちにさせへんプロジェクトと、しゅん君のことを、ずっと守り続けよう」

と心に決めました。

1人1円でも、集まれば大きな支援になる

グリ下の夜回りへ行くと、不安や苦しみを抱えた子供たちのすぐそばを、多くの大人たちが歩いています。

お酒を飲み、美味しいものを食べ、楽しそうに笑っています。

もちろん、一生懸命働いたお金で遊ぶことは、決して悪いことではありません。

難波駅の1日の乗降者数は約60万人です。

徒歩、自転車、車で訪れる人を含めれば、1日に100万人ほどがミナミへ集まるとも考えられます。

その一人ひとりが、たった1円ずつ寄付をすれば、毎日100万円が集まります。

それだけのお金があれば、

・グリ下の子供たち

・ホームレスの人

・自殺を考えている人

など、多くの人を支援できます。

無理をする必要はありません。

ほんの少しだけ、居場所のない子供たちの現状や、しゅん君の思いへ心を向けてもらいたい。

みんなで少しずつ支えられる仕組みを作りたいと思っています。

BONDを続ける4つ目の理由

私は、

・タムケン先生の思いを実現したい

・しゅん君を守りたい

・居場所のない子供たちが安心して過ごせる場所を作りたい

その思いでBONDを続けています。

BONDを始めてから、私自身も多くの時間、お金、人脈を失いました。

参加して共感してくれた方とは、後日改めてお会いし、1時間ほど自分の思いを伝えたうえで、運営へ入っていただくこともあります。

過去にうつ病を経験した方。

身近な人を自死で亡くした方。

涙を流しながら、自分の思いを語ってくれる方もいました。

「3カ月に1回の交流会には必ず参加します」

と約束して運営へ入った人が、2回、3回と参加した後、

「仕事が入った」

と言って来なくなり、やがて連絡もなくなる。

そんなことが、この4年間、何度も続きました。

正直、裏切られたような気持ちになることもあります。

そんな時、いつもタムケン先生の顔を思い出します。

タムケン先生は、何があっても、誰に何を言われても、自分の信じた道を進むために、ずっと前を向いていました。

だから私も、これから何があっても、自分を信じて前を向き、活動を続けたいと思っています。

タムケン先生は、今も私の中で生きています。

そして、忘れ形見ともいえるしゅん君と、3人で一緒に夢を実現したいと思っています。

夜回りチームを募集しています

「ひとりぼっちにさせへんプロジェクト」では、一緒に活動してくださる夜回りチームのメンバーを募集しています。

過去には、BONDを通じて夜回りへ参加してくださった方もいました。

しかし、一部では冷やかしのような態度が見られ、グリ下の子供たちからクレームが入ったこともあります。

見学気分や興味本位ではなく、

「心から、居場所のない子供たちへ寄り添いたい」

という思いがある方に参加していただきたいと思っています。

そのような方は、ぜひ一度BONDへお越しいただき、しゅん君と直接お話ししてみてください。

ボンド 代表

クロスグループ 中村 智

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